歌をうたおう、ホシムクドリはおもった。
こうやってみわたせば、せかいはすてきなものにあふれているという歌。それをみんなのまえでうたうんだ。
ナラの木にすむキツツキにはなしてみた。
そういうことなら木についてかならずうたってもらいたい、とキツツキは言った。天と地のあいだにぴったりとおさまってどんなふうに空をささえているか。きをつけていると、みえてくるから…
自分が美しいと感じるものを歌にして、みんなにも教えたい。そんなホシムクドリに、ほかの鳥たちもそれぞれの見ている世界にある美しさ、素晴らしさを次々に教えてくれます。フクロウは夜の色の複雑さを、カモのお母さんは生きていくことの簡単さを、コマドリは命の終わりと始まりを。そうしてできた歌は…
なにを美しいと思うかは、ひとそれぞれに異なるもの。他者の多様な視点を受け入れ、少し見方をかえるだけでも、今まで気づかなかった美しさ、知らなかったすばらしい世界が、もっともっと見えてきます。
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⽿をすませば、きこえる。⽬をこらせば、みえる。––きみにもみえる?
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オランダの版画家で、作家でもある著者がはじめて手がけた児童書です。表紙のクラフト紙がおしゃれ。イエローが映えるモノクロの版画は、読み手の想像力を広げてくれます。文章もふくめて一つの絵のような、芸術的な絵本。2022年「銀の⽯筆賞」受賞作品。